あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
慧君がそんなことを聞くなんて…


「いや…いいんだ。雫ちゃんなら、好きな人くらいいるに決まってるよね…」


そう言って、下を向いた。


「慧君…どうしたの? 大丈夫? 顔色、ちょっと悪くない?」


本当に、心配になるよ。


「大丈夫だよ。別に体調は悪くない…から…」


「そう…なんだ。だったら良かったけど…」


やっぱりぎこちない。


こんなやり取り、初めてだよ。


それにしても、慧君の瞳、いつも以上に潤んでいるように見える。


見惚れてしまうような、とっても綺麗な瞳。


このままずっと見つめられたら、釘付けにされてしまうような気さえした。


そう思った瞬間、私は思わず目を逸らした。


そして、小さく息を整えてから…また慧君を見た。


憂いを帯びた顔。


大人びた表情にドキッとする。


同じ年齢の慧君のこと、今までこんな風に感じたことなかったのに…


慧君の唇が…


ゆっくりと動き出した。
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