あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
「たまには払わせてよ」


「いいから、ほんの少しなんだし」


「あっ、うん…ごめんね。じゃあ、甘えるね。慧君、いつもありがとう」


「気にしないで」


発する言葉も、声も…


やっぱり優しい。


慧君の年齢は私と同じ25歳。


ほんのりブラウン、ナチュラルショート。


軽く毛先にパーマをかけている爽やか系のイケメン。


高い鼻、ほんの少し厚みのある唇…うるうると潤んだ瞳が印象深くて。


だからかな…


ちょっと刹那的な魅力を感じてしまう。


照れ屋で物静かな彼を、影で慕う女性は少なくないはずだ。


「これで美味しいの作るから、出来たらまた食べてね」


「うん。雫ちゃんの新作のパン、楽しみにしてるから」


私はうなずいた。


あんこさんの作るパンに比べたら私のなんてまだまだだけど、いつも新しいアイデアが浮かんだら自分なりに試行錯誤しながら作るようにしてる。


日々、勉強…って感じだ。


美味しいパンが焼けたら、ただただ嬉しいから。


今はそれだけ。
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