あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
『この感情はなんだ? 俺は…どうしたんだ』と、自分自身に訴えかけた。


ハッとして我に返り、その店に近づいてみた。


『杏』というパン屋だった。


店の中に入った彼女は誰かと話していた。


ここの店員か…


俺は店に入ることはなく、よくわからない気持ちのまま会社に戻った。


そして、前田君に言われた…


『社長、肩に桜が…』


舞い落ちた薄ピンクの花びらが、ずっと俺の肩に留まって着いてきたんだ。


手のひらに乗せたら、それはとても美しく、可愛らしく…


その花びらを見ていたら、彼女の顔が頭に思い浮かんだ。


ついさっき初めて会った…いや、見かけただけの女性。


この桜のように素敵な人だったと、改めて思い返していた。


でも、その時は仕事をいくつも抱えて、かなり慌ただしい生活をしていて、女性との時間を作ることなど、会社を潰すことにつながると、無理やり自分の気持ちを押さえ込んだ。
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