あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
スマホを持つ手から慧君の感情が伝わる。


こんなにも私を想ってくれて…


でも、どう言葉にしたらいいのかわからなかった。


「……」


「とにかく、ご飯は行こうよ。イベントが終わったら」


きっと、精一杯の気持ちを言葉にしてくれたんだと思った。


それは素直に嬉しかった。


「うん。終わったら…お礼にご馳走させてね。私、頑張るね」


「待ってる。それまで俺も頑張るよ」


「慧君…本当にありがとう」


私は、そう言って電話を切った。


フーっと長い息を吐き、そして、唇を噛み締めた。


「掃除…しよっ」


私はシナモンロールを食べてしまってから、普段できない場所の片付けを始めた。


無心になって掃除した。


昼を回った頃、また電話が鳴った。


スマホの画面には『渡辺 希良』と出てる。


慧君に引き続いて、希良君からの電話。
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