あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
「雫?」


向こうから声をかけてくれた。


当たり前だけど、耳に届く声は、慧君、希良君、祐誠さん…みんな違う。


まるでそれぞれの個性を表すように、3人とも声まで素敵で。


たとえ目の前にいなくても、その声は私の胸をくすぐり、ドキドキさせた。


「こ、こんばんは、祐誠さん…」


「ごめん…遅くに申し訳ない」


「いえ、全然大丈夫です。祐誠さん、今、海外なんですよね?」


「ああ、ニューヨークにいる。今…夏時間の朝9時。そっちは…22時だよな。もしかして寝てた?」


私、ニューヨークなんて行ったことない。


祐誠さんは、オシャレなニューヨーカーに混じっても、きっと見劣りしないんだろうな。


「いえいえ、寝てないです。全然…まだまだ起きてます」


嘘をついてしまった。


「なら良かった。今、アパレル事業の打ち合わせでこっちに来てる。イベントのこと…前田君達に任せて、雫にもなかなか連絡できずにすまない」
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