あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
私が黙っていたら、


「綺麗だね、この空。星が出てる」


って、空を見上げて言った。


私も、自然に上を向いた。


「本当、そうだね…」


「でも都会の空はさ、どうしても星が少ないんだよね。僕の田舎の星空は…本当に綺麗なんだ」


そう言えば聞いたことなかったな。


「希良君の田舎って?」


「長野」


「長野県?」


「うん。絶対、東英大に入りたくてさ。田舎から出てきたってわけ」


完全に見た目で都会っ子だと思い込んでた。


「そうだったんだ…すごいね」


「全然すごくなんかないよ。東英大は、地方から出てきてるやついっぱいいるしね。北海道とか沖縄とか」


「みんな偉いなぁ。希良君は卒業したら長野に帰るの?」


「わからない。最初は理科の先生になれたら、どこでもいいって思ってたけど…この前、ゴールデンウィークに風邪引いて実家に帰ったでしょ? 久しぶりに見た田舎の風景が綺麗でさ。こっちに戻ってもいいかなって、ちょっと思った」
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