あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
「もういいです。あんまり話したくないですから。私、慧さんのことずっと好きです。大好きです。だから、絶対、慧さんをこれ以上惑わせないで。本当…さっさとあの社長と結婚して下さい!」


そう言って、冷たくドアを閉めて出ていった。


果穂ちゃんとは…歩み寄れそうにない。


これ以上、何を言い合っても、きっとお互いがつらくなるだけだから…


痛む胸を抑え、私は仕事に戻った。


夜になるのは早かった。


いつもより疲れた気がするのは、果穂ちゃんとの会話のせいかな。


足取り重く帰っていると、聞き覚えのある声で呼び止められた。


「け、慧君?」


「お疲れ様…雫ちゃん」


「どうしたの? こんなところで…」


「配達だよ。この近くを回ってたから」


こんな時間…に?


東堂製粉所の車も近くに止めてあるけど…


「そ、そうなんだ。お疲れ様」


「今、終わったの? 家に帰る?」
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