あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
「そんな…」


「ごめん。イヤミじゃないよ、もちろん。本当に…感謝してるんだ。北海道にも今は本心から行きたいって思ってるしね。いっぱい酪農のこととか、小麦のこととか勉強して…東堂製粉所を大きくしたい。たくさんの人に知ってもらって、うちの小麦粉を使えば何でも美味しくなるって、みんなに言ってもらいたいんだ。その夢、絶対叶えたいから」


慧君の顔が笑顔になって、私はすごくホッとした。


素敵な夢…


大きくて、とても優しい夢だと思った。


「慧君のこと、北海道に行ってもずっと応援してる。あんこさんやお店のみんなと一緒に」


「ありがとう。いろいろ準備を終えて、2ヶ月後くらいには行こうと思ってる。父さんはまだ迷ってるみたいだけど。雫ちゃん、これからも東堂製粉所をよろしく頼みます」


「もちろんだよ。『杏』には東堂製粉所の小麦粉が絶対に必要だから」


慧君は穏やかに微笑んだ。


そして、言った。


「あのさ…」


少し黙る。


「ん? どうかした?」
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