あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
顔も見えないまま、その瞬間、その人は右手を私に差し出した。


何か持ってる。


『え? イチゴ?』


『…これ…落とした…』


息も切れ切れに、その人はそう言って、そして…


ゆっくりと体を起こした。


うわ…


可愛い顔。


『これ、私が落としたの?』


『…はい』


後ろのカゴを確認したら…


確かに、イチゴがない!


『嘘、これ拾ってくれたの?』


『あっ、はい。落とすの見えたんで…』


ニコッと笑う。


綺麗な二重の優しい顔立ちで、笑うと口角が上がってとても可愛い。


黒髪でショートマッシュにナチュラルな無造作パーマが良く似合ってる。


『私、どこで落としたんだろ? 全然気づかなかった』


『自転車、走り出してすぐですよ』


『えっ、嘘、すぐ?』


『はい。僕、あのスーパーでバイトしてて、すぐに追いかけたかったんですけど、他の人に品出しの商品頼んだりしてたら遅れて、急いで拾って走ってきました』
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