あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
彼女に会うと元気が出るからって。


それは…俺も同じ。


50歳も半ばを過ぎたのに、それでも…この恋心は、あの時のまま色褪せることはない。


北海道に来て何度も告白されて、でも、1度だってこの人ならって思える人に出会えなかった。


周りは心配して、いつしか『一生あいつは結婚できない』とか『変わり者』なんて言われて…


全く、余計なお世話だ。


俺の中には昔から…彼女しかいないんだから。


みんなが言うように、確かに俺は死ぬまで独身だろう。


不器用で、ただ一途に想うことしかできなかったから…それも仕方ない。


『杏』の店の前。


あんこさんの車が帰ってきた。


「いらっしゃい。雫ちゃん、真美ちゃん」


「こんにちは。お邪魔します」


2人が車から降りて挨拶してくれた。


「よく来てくれたね」


「慧君、久しぶりだね。本当に元気そうで良かった」


雫ちゃん…


会う度に、そんな風に美しさが増すのはどうして?
< 363 / 394 >

この作品をシェア

pagetop