あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
「榊社長!」


あんこさんと果穂ちゃんが声を揃えた。


「お久しぶりですね、榊社長。また来てくれて嬉しいです」


あんこさんがニコニコしながら言った。


やっぱり、祐誠さんが来ると途端に『杏』が華やかになる。


「私もまた来れて嬉しいです。しばらく忙しくしてたものですから…」


祐誠さんも微笑む。


「榊社長さんって、笑顔、すごく可愛いんですね~」


果穂ちゃんはやっぱりすごい。


そうやって思ったことを何でも口にできるって、うらやましい。


「あの…失礼ですが、もしかして榊社長というと、あの榊グループの若社長さんですか?」


東堂社長が祐誠さんに話しかけた。


「はい、そうです」


「やはりそうでしたか。私、東堂製粉所の社長をしております。名刺をお渡しさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


「はい。東堂製粉所の社長さんでしたか。雫さんからお聞きしています。最高に美味しい小麦粉だと」


「雫さん?」


今度は、慧君と希良君がハモった。


「名前で…呼んでる」


希良君が、みんなには聞こえないくらい小さな声でつぶやいた。
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