あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~
私は、店の奥の控え室に駆け込んだ。


息が荒くなる。


「雫ちゃん」


その声に驚いて振り向くと、そこにはあんこさんが立っていた。


私の顔をただ見つめて、優しく微笑んでから、そっと抱きしめてくれた。


「あんこさん…」


ダメだ…


あんこさんの体に包み込まれて、私、大声を出して泣いてしまいそうだよ。


「大丈夫、大丈夫。落ち着いて。私がついてるから」


私達のやり取りを聞いてたんだね。


あんこさんは私の髪を優しく撫でて、そして言ってくれた。


「果穂ちゃんはね、慧君のことが好き過ぎて周りが見えないんだよ。若さゆえ…かな。果穂ちゃんの想い…それは本物。だから、私だってできることなら応援したい。慧君はいい子だしね。だけど、残念ながら、慧君の想いは、果穂ちゃんにはないの」


「え…」


私は、あんこさんから離れた。
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