二次元に恋するアラサー女子、ついに夢主になるっ!これは夢ですか、現実ですか?!
◇◇◇
外は暗闇だが、そのぶん星が綺麗に見えた。
無数に散らばる星はここが本の世界だということを忘れさせる。
ここまでは一人で来たが、帰りはアズールが送ってくれるという。ラフなシャツから隊服に着替えたアズールは、やっぱりかっこよかった。こんな素敵な人が隣を歩いてくれるなんて夢のようだ。
「うわあ、綺麗。吸い込まれそうだね」
空に手を伸ばすと掴めそうな気がして、私はぐっと背伸びをする。
世界観は違っても空は同じなんだなと不思議な気持ちになった。
と、ふいに石畳の段差に躓いて体が一瞬宙に浮いた。あ、転ぶと思ったのも束の間、私の体はアズールによってしっかりと支えられた。
「世話のかかるお姫様だ。また頭を打ったらどうするんだ」
「ご、ごめん。あ、でも頭を打ったら元の世界に戻るのかな?」
「……ナコは元の世界に戻りたいのか?」
アズールは私をしっかりと支えたまま、神妙な声色で尋ねた。
そういえば元の世界に戻りたいなんて考えたことなかった。すっかりこの世界に馴染んでしまったし、アズールとも仲良くなれたし。だからといって元の世界にやり残したことはないなんてことも言い切れない。まだまだたくさん小説も漫画もアニメも見てキャーキャー騒ぎたかった。夢小説も書きたい。司書の仕事だって頑張りたい。
だけど今の気持ちは……。
「……わかんない」
ぼそりと呟くと、アズールは「そうか」とだけ言って手を離した。
外は暗闇だが、そのぶん星が綺麗に見えた。
無数に散らばる星はここが本の世界だということを忘れさせる。
ここまでは一人で来たが、帰りはアズールが送ってくれるという。ラフなシャツから隊服に着替えたアズールは、やっぱりかっこよかった。こんな素敵な人が隣を歩いてくれるなんて夢のようだ。
「うわあ、綺麗。吸い込まれそうだね」
空に手を伸ばすと掴めそうな気がして、私はぐっと背伸びをする。
世界観は違っても空は同じなんだなと不思議な気持ちになった。
と、ふいに石畳の段差に躓いて体が一瞬宙に浮いた。あ、転ぶと思ったのも束の間、私の体はアズールによってしっかりと支えられた。
「世話のかかるお姫様だ。また頭を打ったらどうするんだ」
「ご、ごめん。あ、でも頭を打ったら元の世界に戻るのかな?」
「……ナコは元の世界に戻りたいのか?」
アズールは私をしっかりと支えたまま、神妙な声色で尋ねた。
そういえば元の世界に戻りたいなんて考えたことなかった。すっかりこの世界に馴染んでしまったし、アズールとも仲良くなれたし。だからといって元の世界にやり残したことはないなんてことも言い切れない。まだまだたくさん小説も漫画もアニメも見てキャーキャー騒ぎたかった。夢小説も書きたい。司書の仕事だって頑張りたい。
だけど今の気持ちは……。
「……わかんない」
ぼそりと呟くと、アズールは「そうか」とだけ言って手を離した。