二次元に恋するアラサー女子、ついに夢主になるっ!これは夢ですか、現実ですか?!

私とアズールはしばらく物陰でじっとしているしかなかった。
視線の先にはどぎまぎするような光景。
そして私はアズールに包まれたまま。

どうしよう、ドキドキが止まらない。
この心臓の音がアズールに聞こえてしまうのではないかと思うと余計に体が強張る。

やがて二人は別れ、お互いにこちらとは逆の方向へ歩いていった。
それを確認すると、アズールと顔を見合わせようやくほうっと胸を撫で下ろす。アズールは何事もなかったかのように、抱きしめる私から手を離した。

涼しい顔をしたアズールに、ドキドキしていたのは私だけなのかと少しばかり悔しさを覚えた。

「今の王様だったよね。女の人は誰だったんだろう?」

「俺もわからない」

「そういえばシャルロットにお母様はいないの?私、お会いしたことがなくて」

「王妃はずいぶん前に亡くなられている」

「そうなんだ?」

違和感を覚えた。
ウィズラブではシャルロットの母は存在していたはずだ。拐われてしまったシャルロットに、私が変わってやりたいと涙を流していたのだ。その人物が当の昔に亡くなっている?!

もしかして、私がシャルロットになったことで少しずつ物語が変わってきてるのだろうか?
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