Livre magic〜動き出す歯車〜

オズワルドは人が変わったかのように笑い、杖を振る。メルキュールが咄嗟に杖を出して防御魔法を使おうとしたが、オズワルドの方が早かった。

「ディスペア！」

オズワルドの放った白い光線にメルキュールたちは当たってしまう。刹那、ノワールと本の中に入り込む時のように目の前が白い光に包まれていった。



メルキュールが目を開けると、リオンたちは「ここはどこなんだ？」と首を傾げているところだった。しかし、メルキュールの体が震える。ここは、前世で暮らしていたあの街だ。

「とりあえず、ノワールさんを探しましょう！」

シャルロットが言い、メルキュールたちは誰もいない街を歩いて行く。メルキュールは街に懐かしさを感じていた。

（あのパン屋さんで、僕と修也は高校生の頃にアルバイトをしてたんだっけ。あのゲームセンターと図書館、二人で行っていたな）

しかし、歩きながらメルキュールは疑問を抱いていた。ノワールのこの小説は、誰も知らない物語だからだ。