Livre magic〜動き出す歯車〜
「何をして過ごそうかな……」

僕はもう、実家を出てこうして自由に暮らしている。お金は使わないため増えていく一方だ。久々の休みだし、ちょっといいランチでもしようかな。お金をただ貯めていくだけの人生は、ちょっと寂しいし。

そう思いながら僕は洗面所の鏡を見る。そして、鏡に映し出された自分を見て驚いてしまった。

鏡に映っているのは、男性にしては長い黒髪に紫の目をした見知らぬ人物の姿だった。この男の子は誰なんだ?

ズキンッと頭が痛む。あまりの痛みにその場にしゃがみ込んでしまった。痛い。脳の血管が破裂でもしたのか?

その痛みの中で、別人の記憶がふわふわと流れてきたような気がした。何なんだ、この感覚。これは僕の意識があるだけで、別人の体なのか?別人と僕の体が入れ替わっているなんて、アニメみたいな現象が起きているのか?

痛みでしばらく動けなかったけど、しばらくすると落ち着いてきた。とりあえず僕は立ち上がり、もう一度鏡を見る。やっぱり、そこに映っていたのは太宰修也じゃない。誰なんだ?この人は……。
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