Livre magic〜動き出す歯車〜

「本があったということは、ノワールは……」

ノワールの居場所を察し、メルキュールはクローゼットの方を見る。そして呟いた。

「君の力が必要になるかもしれない」



メルキュールがリビングに行くと、リオンたちは深刻そうな顔でリビングのテーブルに置かれた本を見つめていた。

「これがノワールの部屋にあった本だよ」

リオンに手渡され、メルキュールは本を見つめる。表紙は白一色で染まっていて、タイトルなどは書かれていない。メルキュールはパラパラとページをめくってみるが、本には文字一つ書かれていない。

「捜索魔法を使ってみたんですけど、先生を見つけられなくて……」

エリカが不安げに言い、カズが「あいつ、どこ行ったんだよ！」と怒りを含んだ声で言い、床を睨んでいた。

「恐らくだけど……ノワールは、この本の中に閉じ込められたんじゃないかな？どこにもいなかったのなら、その可能性の方が大きい」

メルキュールがそう言うと、「なら、俺たちにできることはもうないじゃないか！」とリオンが声を荒げた。