SINOBI 隠苑の国に咲く花
記憶
「おや、ぼうや。まだいたのかい?」
民家の軒先に丸まって座る5つか6つの少年。
道を通りかかった初老の女がそう問いかけた。
「あんた朝もいたじゃないか。」
今朝出かけに通り過ぎた時と全く同じ場所、同じ体勢で座る彼にそう声をかけた。
ボサボサの髪に、色を無くした瞳。
「なんかあったのかい?」
そう問いかけても返事はない。