王子様ができるまで
★父親、逃亡…
「…って感じでさー!
もーお死ぬかと思ったよ!」
「あら…それもしかして借金取り?」
さっきのお兄さんたちのことを説明しながら、電灯で照らされた道を歩く。
隣にはパート帰りのお母さん。
見た目はどこにでもいそうな主婦って感じなのに、喋り方だけはどこか品のある、おっとりした世間知らずのお嬢様みたいなお母さん。
昔から不思議だったんだけど、何故か話し方と仕草だけはタダ者じゃなさそうなんだよね。
「多分…
あの感じは借金取りだよ。ドラマみたいな!」
「パパかしら…。」
どうしましょう、って感じの表情で、顎に手を当てるお母さん。
やっぱり何処かのご令嬢みたい…。