王子様ができるまで
「お母さん。」
そう言って後ろを振り返ると、お母さんが真剣な表情で見つめ返して来た。
私は扉を全開にして、部屋に足を踏み入れた。
ーーーまさかお父さん…
一瞬、お父さんの首が天井に吊るされた紐に繋がれている光景を想像して、首を強く振った。
部屋に入ると勿論電気はついていなくて、さっき部屋に入った時と同様シーンと静まりかえっていた。
「パパ?いるの?」
玄関に突っ立ったまま停止している私の体を優しくどかせ、部屋の奥に進むお母さん。