王子様ができるまで
「え!お母さんどうしたの?」
お母さんはびっくりする私を気にもとめず、ズンズンと私の前にやってくると、いきなりグイッと私の両手を掴んだ。
「妃名ちゃん、いい?
ママね、パパと離婚することになったから。」
「……はぁ!?」
一瞬ボーっとした後、自分でもびっくりする程の大きな声が出た。
「な、な…っ
お母さんどうしたの、いきなり!」
あんなダメな夫でも見捨てることなく、いやそれどころか、あんなダメな男でも好きで好きでしょうがないって感じだったお母さんが…どうしたことか、いきなり離婚すると言い出した。
「妃名ちゃん…。
ママね、パパと離婚なんかしたくない。大好きだから。
でもね、そんな大好きなパパとの娘を守ることの方が、ママにとってはもっと大事なの。」
え…。
「だから、ママはパパと別れる。ごめんね。」