王子様ができるまで
ーーごめんね…。
お母さんの言葉が胸に響く。
「…なんだか良く分からないけど、分かった。」
よくお母さんに、お父さんと離婚した方がきっと幸せになれるよって言っていたことを、ふと思い出す。
あの時は本当に別れるなんて思ってなかったから、あんなことが平気で言えたんだ。
実際離婚するとなると、良かったね、なんて口が裂けても言えやしない。
「リビングにお父さんいたの?」
私のそんな問いに、お母さんは首を横に振った。
「いなかったわ。
でもこれが…。」
お母さんはそう言うとワンピースのポケットに手を突っ込み、真っ白な便箋を取り出した。