王子様ができるまで
「妃芽子様、お久しぶりでごさいます。」
お屋敷に入るなり口々にそう言われるお母さん。
私はその様子をポカンと見つめることしかできない。
ちなみに妃芽子ことは、お母さんの名前だ。
「ずいぶん立派になられて…。」
老けた、の間違いじゃないだろうか。
「みんな本当に久しぶり。また会えて嬉しいわ。」
「私どもも同じ気持ちでございます。
しかし、そちらのお嬢様は…どなたでございますか?」
その場にいた人たちの視線が一気に私に向けられた。