王子様ができるまで
「そうなの…。
じゃあとりあえずお父様にご挨拶してくるわ。妃名ちゃん、ここで待っててくれる?」
「…分かった。」
本当は私もおじいちゃんに会ってみたかったけど…
お母さんがわざわざ私をおいて行くということは、何か理由があるのかもしれない。
「あと佐和さん、この子に私が家を出た理由を話して欲しいの。」
「かしこまりました。」
「ありがとう。」
そう言ってお母さんは部屋を出て行った。
「妃名様。お話ししたいことがあります。」
佐和さんはお母さんの背中を見送ると、くるっと私の方を向いてそう切り出した。