王子様ができるまで


「そうなんですか…。」


お母さんがおばあちゃんを早くに亡くしていたなんて…。

いつもふわふわとしているお母さんから、そんなことは全く想像できない。


「いろいろありましたが、こうして再び妃芽子様にお会いすることができて、旦那様は本当に喜んでいらっしゃると思いますよ。
きっと妃名様にお会いできることも…。」


自分が結婚を反対した男と可愛い愛娘の子を、本当におじいちゃんは受け入れてくれるんだろうか。

そんな不安が頭をよぎった。


「それより妃名様。わたくしにあなた様のことを教えてください。我が娘のようにお育てした方のお嬢さんのことをもっと知りたいのです。」

「あ…はい。」


そうして私は、自分の生まれ育った地、通った学校、貧乏だけど楽しかった日々の生活について詳しく話した。

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