王子様ができるまで


「あのね、実は鶯路学園の理事長って、私の…」


「そんなことはどうでもいい!!
そうじゃなくて、男子校でしょ?その学校。」


またよく分からないことを話しだそうとしているお母さんの言葉を遮り、一番の疑問を口にした。


「大丈夫大丈夫。ママの力…というか小鳥遊の力さえあれば、そんなのちょちょいのちょいよ!」


小鳥遊(たかなし)とはお母さんの旧姓。

というか、お母さんとお父さんが離婚した今、今日から私の苗字も“小鳥遊”である。


「いや、小鳥遊関係ないでしょ!
男子校に女子が通う意味が分からないし…!」


「だーかーらー!
妃名ちゃんが男子校に通ってるなんて、誰も思いつかないでしょ?」


だろうな。


「だから、男子校に入れれば妃名ちゃんが悪者に見つかることはないってこ・と・よ♡」



何が、こ・と・よ♡、だよ!!

ふざけんな!
私だってもうすぐ17だよ?

れっきとした、女だよ!?

悪者に見つかるのも嫌だけど、男子校に通うなんて…もーっと嫌だわ!

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