王子様ができるまで
★手紙に託された想い
「はぁー…。」
「お嬢様、これで10回目くらいですよ。」
溜息をつくの…そう言ってミラー越しに私を見る運転手さん。
「すみません…。」
今は、一生縁がないと思っていた、あのとてつも無く長い車に乗っている。
革張りのシートに、木目調のテーブルまで設置された、車の中とは思えない空間に、私はいた。
なんでこんな車に乗っているかって?
そんなの私が聞きたいわ…!
私の隣にはデッカいトランクケース。
これまた革張りのアンティークっぽい代物だ。
この中には、洋服、靴、下着など、私の生活に必要なものが全て納められている。
…そして私の手には一通の手紙。