王子様ができるまで



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妃名へ


始めまして。私は妃芽子の父親、そして君の祖父にあたる者だ。妃名、昨日私は初めて自分に孫がいることを知ったよ。私が昔、妃芽子と君のお父さんの結婚を許すことができていれば、君が赤ん坊の時にこの腕に抱くことがてきたかもしれない。そのことがとても悔やまれるよ。


それに、いろいろと大変だったようだね。今まで何も力になってあげられなくてすまなかった。こんな私を許してくれ。そして君のことを私が自ら守ってあげられなくてすまないね。本当は我が屋敷で妃名を守ってあげたいんだが、なかなか上手くいかなくてね。だからあの学園の者に君を託した。


学校が学校だから、君も不安だとは思うが、あの学園の者は将来私の右腕になる者たちの集まりだ。だからきっと、どんな危険からも君をお姫様のように守ってくれるだろう。だからそんなに心配することはない。


妃名、君に会えなかったことが心残りだが、またいつか、必ず会いに行く。だからあの学園で彼らに守られながら、その時を待っていておくれ。


愛を込めて。


小鳥遊 総一郎



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