王子様ができるまで


「ていうかさー。なんで吉崎さん?慧でいいよ。」


け、慧?!


「ほら、呼んでみて?」


「え…
えっと…け、け、…」


ちょ、ちょっと待って!
無理!絶対無理!


「ん?」


吃りまくる私を面白そうに見つめ、その先を急かす王子様。


「け、慧…くん。」


やっぱり、呼び捨てはハードルが高すぎる…。

これで精一杯だよ。



「ふーん。俺呼び捨てって言ったんだけど…できないんだ?」


ん…あれ?今の冷たい声は何?

当たりを見回してみても、そんな声を出しそうな人は見当たらない。

というか、私と王子様しかいない。


おっかしいなー。どっから聞こえたんだ?

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