王子様ができるまで



私はそろーっと声の方に首を向ける。
声の方というかすぐ横だけど…。


「黙ってくんない?イライラする。」


綺麗なお顔が冷たく歪み、ドス黒いオーラが、王子様フェイスをどんどん曇らせて行く。



…………………。




け、慧くんが…慧くんが…


王子様じゃ、ない…?!




「ってかさ、妃名ちゃんのこと好き勝手言ってるけどさ、この子はもう俺のものになるって決まってんの。分かる?」


はい?



「ね?妃名ちゃん?」


あれ…
急に王子様口調に戻った。


「え、慧…くん?」


「…………。

妃名ちゃん。はい、でしょ?」


ひ、ひい…!

慧くんの後ろに悪魔が…悪魔が見える!


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