王子様ができるまで
「大丈夫だよ、あんなヤツの所なんかに戻らなくても。
あ、そうだ。俺、夏目夕紀よろしくね。」
そう言ってニコニコ笑う黒髪の彼、もとい夕紀くん。
あのー…肩組まれて自己紹介されても…。顔近いし!
「よ、よろしくお願いします…。」
なんとか言葉は返せたものの、目の前でドス黒いオーラを放っている彼が恐すぎて…
はっきり言って、私は今それどころじゃない。
ってか慧けいくん、どうしちゃったの!?
さっきまで完璧な王子様だったのに…。
「妃名ちゃん?来ないの?」
ひっ!!
完璧なまでの王子様スマイルなのに…目が、目が氷点下だ…。
「妃名ちゃん?」
うっ…
慧くんの悪魔の微笑みが恐すぎて、もはやカチカチに固まってしまった体。
も、もう無理だ…!