王子様ができるまで


「……………。」


「おいおい、そんな顔すんな。
中に担当教師がいるだろうから、そこでちゃんと説明してもらえ。」


「はぁ…。」


不満そうな顔をする私の肩をトントンっと軽く叩く酒井先生に曖昧に返事をし、私はプリンセスルームとやらのドアに手をかけた。


少し錆びたゴールドの取っ手をゆっくり回すとキーッという音ともに扉が開いた。


少し開いた隙間からふわーんと甘い香りが漏れて来た。


何これ…良い匂い~


「じゃあ、頑張れよ小鳥遊。」


そんな先生の言葉を背に、私はプリンセスルームに足を踏み入れた。

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