王子様ができるまで


私もそれに(なら)い、乙葉先生の前のソファに腰掛ける。

先生のお人形さんみたいな可愛らしい顔を見ると、まだまだ高校生と言われても十分納得できる。
…というか乙葉先生には申し訳ないが、全然社会人には見えない。

こんな可愛い先生を男子校に置いておいて大丈夫なんだろうか…。


そんなことを考えていると、


「妃名ちゃん。」


そんな綿菓子みたいにふわふわした声に、ハッとなって先生を見た。

先生はフワッとしたチュールスカートの上に手を置き、長い睫毛を持ち上げて私を見た。



「私ね、男子校にいきなり転校するなんてとても心細いだろうからって、理事長に妃名ちゃんの相談役をまかされたの。だからもし何かあったら、なんでも遠慮なく私に相談して?」


「え…。」

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