おたのしみ便
わたしはわたしで、鏡子のセンスあるコーディネートに見惚れていた。
何気なく合わせたように見えるTシャツにカーディガン、ショートパンツといったラフなアイテムのバランスが、うまく言えないけれど絶妙なような気がした。
6年生になっても母の買い与えた服を着ていたわたしは、自分の野暮ったさが気になり始めていた。

「きょうちゃん、そういう服ってどこで買うの?」
「え、大宮だけど」
「そうなんだ。渋谷とか原宿かと思った」
わたしがそう言うと、鏡子はからからと笑った。
「チェーン店の服なんてどこで買っても同じだよ」
「チェーン店って?」
恥をしのんでたずねると、鏡子はまたおかしそうに笑って
「じゃあさ、今度一緒に服買いに行こ」
とポニーテールを揺らしてわたしの顔を覗きこんだ。
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