おたのしみ便
母の言ったとおり、中身をぱんぱんに詰めこんだ封筒の上から字を書こうとすると、でこぼこでうまくいかなかった。
わたしは泣く泣くその封筒を犠牲にして、最初に教わった方法で開封し、新しい封筒に鏡子の住所と名前を書いた。
初めて書く漢字は、母に手伝ってもらった。
母は切手の裏側をべろんと舐めて、封筒の左上に貼りつけた。
「なんでなめるの?」
「切手ってね、濡らせば粘着するの。ちょっとの水でもいいし、まあ普通に糊つけてもいいんだけどね」
「……ふうん」
またひとつ、大人の世界を知った気がした。
鏡子のいないクラスなんてと不安だった学校生活にも、あっという間に順応した。新しい友達が増え、休み時間も放課後も忙しくなった。
時々廊下ですれ違う鏡子も、輝く笑顔をふりまきながらわたしの知らないクラスメイトたちと楽しげに歩いている。
わたしは泣く泣くその封筒を犠牲にして、最初に教わった方法で開封し、新しい封筒に鏡子の住所と名前を書いた。
初めて書く漢字は、母に手伝ってもらった。
母は切手の裏側をべろんと舐めて、封筒の左上に貼りつけた。
「なんでなめるの?」
「切手ってね、濡らせば粘着するの。ちょっとの水でもいいし、まあ普通に糊つけてもいいんだけどね」
「……ふうん」
またひとつ、大人の世界を知った気がした。
鏡子のいないクラスなんてと不安だった学校生活にも、あっという間に順応した。新しい友達が増え、休み時間も放課後も忙しくなった。
時々廊下ですれ違う鏡子も、輝く笑顔をふりまきながらわたしの知らないクラスメイトたちと楽しげに歩いている。