メガネをはずした、だけなのに
プロローグ
「綿貫さん、おとなしいね」
「綿貫さん、地味だな」
「綿貫さん、息してる?」
私、綿貫 弓子は高校に入学してすぐ、クラスメイトから酷い扱いを受けていた。
たしかに、黒縁メガネをかけて髪が長いので、暗い印象かもしれない。
同じ中学校に通っていた顔見知りの子が教室にいないので、休み時間も一人で過ごしてる。
このままだと、一人ぼっちになってしまう……
椅子に座って机に頬杖をつき、外の景色を眺めながら私は思った。
小学生の時から大好きな幼なじみの彼に、振り向いてほしい気持ちもある。
このまま高校生活を過ごしていくなんて、寂しすぎるよね……
一大決心をして覚悟を決め、行動に出た。
思いきってイメージチェンジしようと考え、コンタクトレンズにしてみる。
すると、私の素顔を見たクラスメイトの態度が激変した。
メガネをはずした、だけなのに……
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