メガネをはずした、だけなのに

 トイレの扉をドンドンたたきながら、相葉くんが外で叫んでるよ。


「トイレの弓子さ~ん、出ておいで~!」


 相葉くんが、私のことをトイレの花子さんみたいに言ってる!

 いったい彼は何をしたいんだろう。

 他の人に迷惑をかけたくないので、ここは相葉くんの言う通りにする。


「わかりました、出ればいいんでしょ」


 トイレの扉を挟んで私の言葉を聞いた相葉くんが、怪しげに言い返してきた。


「おや?綿貫くん、もう降参かな?」


 他の女子が怯えてるので、不本意だけど外に出るだけ。

 扉を開けて廊下に立つ私は、渋い顔をしながら相葉くんを睨みつけた。


 不機嫌な表情の私に構わず、ニヤリと口元を吊り上げた相葉くんが構わず言ってくる。


「綿貫くん、今日は何の日か覚えてるかな?」



 いきなりクイズって、あんなに大騒ぎしてこれが言いたかったの……



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