メガネをはずした、だけなのに
「桜井くん……桜井賢斗くんがどうしたの……」
思わずキツイ口調で言ってしまった。
「綿貫くんは、彼から何か聞いてるだろうか」
「えっ……」
もしかしたら、宿泊研修を欠席することかな。
一年生全体の会議で使う研修参加者の名簿や書類は、すでにある。
隣のクラスでも、欠席になってたら気になるよね。
「理由は知らないけど、賢斗くんは宿泊研修を欠席するみたい。」
「なるほど、理由は知らない……か……」
「うん」
「桜井くんは優しいのか残酷なのか、悲しむ綿貫くんは見たくないが、僕ができることは頑張ってみるつもりだ」
優しくて残酷?私が悲しむの?相葉くんが頑張る?
賢斗くんが宿泊研修を欠席する理由と、何の関係があるんだろう。
「相葉くんの話が、ちょっと理解できないんんですけど……」
廊下に立つ私は、真剣な眼差しで聞いてみた。
両手をポケットの中に入れた相葉くんは、何回も頷いた後で私に背を向ける。
「だいたいの事情は把握した。なるほど、彼は罪な男だ……」
「それって、どういうこと?」