メガネをはずした、だけなのに

 一年生の学級委員たちは、みんな教室に戻って帰り支度を整えてから帰路につくみたい。

 私も同じように、B組の教室を目指して廊下を歩いてる。

 なぜか、横には相葉くんが一緒にいて、歩調を合わせるようにすすんでいた。


「お先に教室へどうぞ」


 私を追い抜いて、先に教室へ行くよう相葉くんに言う。

 でも、私と並んで歩くのをやめない。


「いいではないか、恋人同士みたいで」


「あの、あのあの!」


 突然、驚くようなことを言われると思考回路が停止して、言葉がうまく口から出てこないよ。

 朝の生徒玄関で「好きだ!」と叫んだり、「愛してる」など簡単に言ってくるから心臓に悪い。

 付き合いきれないので、また女子トイレに逃げ込もうと考えた時。


「もしかして、トイレの弓子さん作戦を決行するつもりでは?」


 どうやら、見破られてしまったらしい。


「相葉くん、めんどくさいな……」



「なんだと綿貫くん、失敬だぞっ!」



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