メガネをはずした、だけなのに

 口を閉ざし、短い沈黙の時間が流れる。

 そして、私より先に賢斗くんが話し始めた。


「俺は、中学生の時みたいに気落ちしてないんだぜ」


「えっ……」


「弓子はメガネをはずして、積極的に自分を変えたよな」


「そうだね、色々と頑張ったよ」


「前向きな姿を見てるし、弓子からたくさんの勇気をもらったぜ」


「賢斗くんが想像してるほど、私の心は強くないけどね……」


 賢斗くんの顔を見つめながら、私は作り笑顔で静かに話した。

 でも、視線を横に向けたままの賢斗くんはクールで冷たい表情のまま。

 私は、ちょっと不安な空気を感じ取る。


 賢斗くんが視線を私に向け、目を見つめながら静かに言ってきた。



「俺も、弓子みたいに自分を変える」



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