メガネをはずした、だけなのに
12.ロビーで泣いてた
ここ数日、賢斗くんの姿を学校で見てない。
聞きたいことは、たくさんある。
でも、質問したって答えてくれないのは目に見えてた。
今週に入ってから、なんだか落ち着かない日々を過ごしてる。
先週の休み時間、梨木くんの彼女さんや賢斗くんから色々と聞かされたことを思い悩んでいた。
海外への留学、コンクール、賢斗くんの口から相葉くんの名前が出てきた事など、あまりにも突然すぎて頭の中が整理できないよ。
宿泊研修の打ち合わせはだいたい終了して、クラス委員としての仕事は落ち着いてきたけど……
朝から憂鬱な気持ちで登校すると、溜息をつきながら生徒玄関で上靴に履き替え一人で考え込んでいた。
その時、聞き覚えのある声で話しかけられる。
「綿貫くん!」
「はいっ!」
ぼーっとして、考えごとをしてる時にかぎって相葉くんが話かけてくる。
「だいじょぶか?バッテリーの切れたロボットみたいにフリーズしてたが、少し充電したほうがよいのでは?」
「なんで……」