メガネをはずした、だけなのに
「心ここにあらず、綿貫くんの心が綿菓子みたいにフワフワしてるぞ!」
「……」
「来月の宿泊研修だが、おやつは五百円までに決めないか?」
「はぁ……」
「正気に戻れ、綿菓子くん!」
「いやいや、私は綿貫ですけど……」
「まちがえた、スマン綿菓子くん」
この前のタヌキと同じパターンだ。
相葉くんは言い出したらしつこいから、知らん顔してこの場から立ち去ろう。
相葉くんと話をする機会があったら、賢斗くんと何があったのか聞きたいなと思ってたけど言い出しづらい。
しかたないので、私は諦めて背を向けると歩き出す。
「どこに行くんだ、綿貫くん!」
どこって、教室に決まってるでしょ!
などと言い返したら、相葉くんの攻撃にあってしまう。
歩みを止めず、私は廊下を進む。
「まて、綿菓子っ!」