メガネをはずした、だけなのに

 周りに、あまり人がいない座席を探す。


 前から五列目の中央は、通路もあって移動しやすい。

 制服姿の私が歩いて動くと、目立ってしまうのか周囲の人から視線を向けられた。

 それでも椅子に腰を下ろし、何とか落ち着いて演奏を聞ける状態に。


 先生に感謝しながら「相葉から何も聞いてないのか」という言葉を思い出していた。


「先生は何が言いたいんだろう……」


 次の演奏者がステージに姿を見せる。

 司会の人の案内だと、この人を含めて、あと二人で終了とのこと。


 すでに、賢斗くんの演奏が終わってしまったのかと、肩を落としてピアノ演奏を聞いてた。


「は~あ、がっかりだよ……」


 次にステージ上へ姿を見せたのは、なんと、梨木くんの年上彼女さん。

 橋本詩音さんが姿を見せたので、驚きながら見入ってしまう。

 赤いドレスに綺麗な立ち姿、学校で見る嫌味っぽい悪女の姿はどこにもない。



 メイクをした美しい顔立ちは、見る人をウットリさせてしまう……



< 152 / 184 >

この作品をシェア

pagetop