メガネをはずした、だけなのに

 嫌と言い出せない雰囲気に、しかたなく承諾してしまった。


 顔合わせが終わり、本格的な授業は明日から始まる。

 先生が教室から出て行き、クラスメイトたちが帰宅の準備をしてる最中に、相葉くんが近づいてきた。

 眼鏡(めがね)をかけた秀才タイプでカッコイイけど、私とは気が合わない印象。

 椅子に座って帰る準備をしていた私に向けて、相葉くんが話しかけてきた。


「綿貫くん、言っておきたいことがあるのだけど、いいかね?」


 これからよろしく、の挨拶ではなさそう。

 クセのある話し方と挑発的な態度なので、係わりたくない感じ。

 でも、入学初日から嫌われたくないので会話をすることに。


「はい、相葉くん何でしょう……」


「どうやら、先生は大きなミスをしているようだ」


「大きなミスを、先生が?」


 私は横に小首を傾げて、不思議顔を見せる。

 相葉くんは人差し指で眼鏡のフレームを持ち上げ、瞳をキラリと輝かせた。


 すごく嫌みったらしい表情で、唇の端を吊り上げて話し始める。



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