メガネをはずした、だけなのに
14.ありがとう・・・

 翌週の月曜日、私は昼休みを使って先生のところに向かっていた。


 職員室の扉をノックして、室内に入ると礼をする。

 先生の所に歩み寄って近づき、声をかけると驚いた表情をしていた。


「なんだ綿貫、先生は呼び出してないぞ!」


「いえ、今日はちがうんです」


 周りを見回しても、賢斗くんの姿はない。


「あの、先日はありがとうございました……」


 先生は人差し指を口の前に立て、私に口を閉じるよう合図してくる。

 周りの先生に、聞かれたくないらしい。

 生徒の片思いを応援するために、昼から授業を休んでいいなんて、そんな変わった教師はいないよね……


「で、どうだった?」


「最高の……いい思い出になりました」


「いい思い出……そうか……」


 先生は、何か進展を期待してたと思う。



 でも、私の言葉を聞いて色々と感じ取ってくれたみたい……



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