メガネをはずした、だけなのに

「まあ、それでも校長は首を縦に振らなくて、困った相葉が先生のところへ相談しにきたんだぜ」


「そんなことが……」


「先生は校長の弱みを握ってるから、無理矢理だけど桜井の留学許可をもらったんだ」


 初めて聞くことばかりで、驚いてしまう。

 たしかに、相葉くんは生徒会室へ頻繁に出入りしてる。

 新入生の相葉くんだけど、中学生の時に生徒会が一緒だった女子の先輩がいると言ってた。


 きっと、熱弁して生徒会のみなさんと、校長先生にかけあってくれたんだね。

 でも、どうして私が知らない賢斗くん情報を、相葉くんが耳にしたんだろう。

 周りにスパイでもいるのかな?


 賢斗くんも、目立たないように相葉くんが動いてる事を知ってたんだね。

 だから「相葉って奴すごい」って話してたんだ。


 他人のために、影ながら一生懸命するのが相葉くんなんだね。

 中学生の時に顔見知りだった先輩から、人望があるのも頷ける。


「来月の宿泊研修、トラブルなく頼むぞ」


「あっ、はい!」



 また、ぼーっと突っ立って気が抜けてる時に話しかけられてしまった……



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