メガネをはずした、だけなのに

 B組の教室に入ろうとしたとき、廊下でニコルと出くわした。


「ほえっ、弓子ちゃん元気ないね?」


「そうかな?さっき梨木くんの年上彼女さんと話してた時は……」


「ええっ!ふなっしーの年上彼女!それって、ふな子じゃないのさ!」


 また、よけいな事を大声で騒ぐからこまってしまう。

 ご飯と納豆と演歌を愛する青い瞳の大和撫子は、毒舌を治そうとしない。

 まあ、ニコルらしくていいけどね。


「そういえば、賢斗くん学校に来てる?」


 左右に首をフルフル振って、否定するニコル。

 そして、どこか寂しそうな表情を見せていた。


「そっか、準備で忙しいのかな……」


「でもね弓子ちゃん、担任の先生は事情があって休んでるとしか教えてくれないんだよ!」


 めんどくさい事は目を瞑って関わらない、A組の先生はそんな感じの人だ。


「本当は、だいたいの事情は分かってるんでしょ」」



 ニコルは渋い表情で、首を縦に振って頷いた……



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