メガネをはずした、だけなのに

「相変わらず騒がしい連中だな」


 騒ぎを聞きつけた、副委員長の相葉くんまで姿を表した。


「そうだね」


 私は、相葉くんにお礼を言わなければならない。

 知らないところで、賢斗くんのために一生懸命やってくれてたのだから。


「ありがとう、相葉くん」


「なんだね綿貫くん、あらたまって」


「賢斗くんのことなんだけど……」


「綿貫くん、キミは桜井じゃないだろ!礼など言われる筋合いはない!」


 たしかに、私は何も関わってない部外者。

 片思いの彼を思って、よけいな事を言うところだった。

 私は、賢斗くんと付き合ってもないし、恋人同士でもない。


 相葉くんに告白された返事をしてないのが気にかかってる。

 本当は、きちんと伝えなければいけないのに……


「どうした綿貫くん、落ち込んでるのか?」


 口に出さないけど、相葉くんはすべての事情を知ってるみたい。

 小学生の時に私がした告白の返事を聞かないまま、賢斗くんが遠くへ旅立ってしまうよ……



「ぬはは、あきらめるのは十年と三日ほど早いぞ!綿貫タヌキ綿菓子くん!」



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