メガネをはずした、だけなのに
「それって、どういう意味?」
「さあな……」
「相葉くん、何か知ってるの?」
鼻をフンッと鳴らし、眼鏡のフレームを指先で持ち上げる相葉くん。
そして、静かに話し始めた。
「今頃、空港だろうか……」
「えっ、海外へ旅立つのって今日?」
「何も聞かされてないようだね、綿貫くん」
それっきり、相葉くんは口を閉ざして何も話してくれない。
私よりも、周りの人のほうが賢斗くんの事に詳しいのはなぜ?
「僕は本人から直接、聞いてないのでね」
「そうなの?」
「あくまでも、噂として耳にしただけなのだよ」
「ですよね……」
深い溜息をついた私に向かって、相葉くんが言ってくる。
「今日は月曜日だ、昼から体育館に集合して全校生徒参加の集会があるのを忘れないように」
「そうだったね……」