メガネをはずした、だけなのに

「思い悩んで体調を崩したら、校長先生がステージ上で話してる最中に貧血で倒れてしまうぞ」


「相葉くん忠告ありがとう、気をつけるね」


 私は相葉くんに手を振り、その場を後にする。

 保健室に行こうかな、と考えたけど止めておく。


 もうすぐ昼休みも終わるので、そのまま一人で体育館へ向かうことにした。

 廊下を歩いてると、旧校舎が見えてくる。


「もっと、賢斗くんのピアノ聞きたかったな……」


 私は思わず、独り言をつぶやいてしまう。

 視線を前に向けて歩き、そのまま体育館へ向かった。


 体育館の中は、すでにザワザワして全校生徒が溢れかえってる。

 集会が始まる時間も迫ってきたので、各学年の生徒が整列し始めた。


 集会はステージを前にして学年クラスごとに分かれ、男女が縦一列に並んで整列する。

 学級委員は身長に関係なく、一番前へ立つ事になっていた。

 いつも私の隣に、副委員長の相葉くんがいる。



「おや?綿貫くん、疲れてるのかな?」



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